あまり知られていない乳酸菌の利用方法の一つとして、家畜飼料への利用があります。
農家にとって乳酸菌とは非常に重要な存在なのです。
乳酸菌による乳酸発酵を利用することで、飼料の長期保存を可能にしています。
家畜飼料はサイレージが主に利用されています。
これは牧草などをサイロ(家畜飼料を貯蔵・収蔵する倉庫のこと)で発酵させたものです。
発酵は、牧草に自然に付着している乳酸菌によって行われます。
酸性の乳酸や酢酸を生成することで有機酸の比率があがり、phはさがります。
それにより、酸性が苦手なカビや細菌類の活動を抑制することができます。
腐敗を防ぎ、飼料の長期間保存を可能にしてくれるのです。
このとき、サイロ内は嫌気性条件を保っておく必要があります。。
多くの乳酸菌が、嫌気性下で活発に発酵するからです。
また、好気性細菌の活動を抑制することもできます。
発酵時の乳酸菌量が多すぎても家畜に影響が出てしまうと言われています。
家畜に無影響であり、かつ、長期間保存が可能な乳酸菌量の研究がされています。
農家によっては、その研究に基づいて、人工的に乳酸菌を添加したり、水の量を調整しているそうです。
サイレージへの乳酸菌利用は、農家にとって生産面だけでなく肉の質向上という面でもメリットがあります。
牛は、豊富な有機酸が含まれた餌を好み、肉質が良くなるのです。
また、肥育しやすいとも言われています。
私たちが食べているおいしい肉は、乳酸菌によってつくられていると言っても過言ではありません。
また、乳酸菌によって飼料が安く生産されているからこそ、今の価格で肉が食べられるのです。